ブルトンのダッグアウト

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日本にとって大学とはなにか――『大学は何処へ』刊行記念イベント

昨年7月にシラスで放送された東京大学教授の吉見俊哉氏が上梓した「大学は何処へ」の出版記念イベントの動画を視聴した。

 

シラス:https://shirasu.io/

イベントレポート:

genron-cafe.jp

 

前半は著者の吉見氏が同書の概要を説明。

同志である石田英敬氏も登壇しており、ふたりが東大の学生だったとき、また教員として関わった教育改革などについて回想しつつ、時折、東浩紀が質問をするかたちでイベントは進んでいく。

 

登壇者が全員東大出身であっため、ローカルな話になりがちであったものの、興味深い話も多かったというのが私の感想。

 

私はつぎの2点に特に関心をもった。

高専は大学入試がなく、15歳からの5年間腰を据えて勉強できるので面白い制度

・日本の大学の授業は多すぎる

 

2点目の大学の授業は多すぎるという点についてもう少し触れると、日本の4年制学部は124単位を卒業条件としているところが多いようだが、かりに1科目を2単位(90分授業✖️15週)とすると、62科目履修することになる。

 

実際には1単位の授業があったり、逆に2単位を超える授業もあったりするので、一概には言えないが、60科目を下回ることは少ないのではないかと思う。

 

引き合いとして、オックスフォード大学の看板コースであるPPEの科目数を提示してみたい。

 

PPEとは、Politics, Philosophy, and Economicsの略。

歴代のイギリス首相を多く排出している。

 

オックスフォード大学はウェブサイト上でこまかいコースの内容を公開している。

https://www.ppe.ox.ac.uk/course-structure

 

上記のウェブサイトでは、PPEは3年間(日本と違って4年間じゃない)で17科目しか取らなくて良いように見える。

 

1科目あたりの授業回数が多いのでは?と思ったので確認を試みたところ、ウェブサイトに授業別の授業回数も載っていた。

 

例として、Introduction to Logic という授業では8回の講義、12回のチュートリアルとあり、日本の1科目あたり授業回数より多いことが確認できた。

チュートリアルとは、オックスフォードの特徴的な授業スタイルで、教員と1対1または1対数名で実施する、事前の読書課題にもとづく質問を受ける授業である。

 

他方Moral Philosophyという授業は、 8回の講義のみで完結するようあり、授業によって授業回数や方法がまちまちであることがわかる。

 

日本のように、単位数で授業回数が規定されることはなく、授業ごとに自由に設定できるようだ。

 

オックスフォード大学の教育については興味を持ったので、どこかで調べて紹介する機会を設けたい。