『武器になる哲学』山口周 -哲学・思想へ入門するのに本当におすすめできる書籍-
日本において哲学は、机上の空論、役に立たないものであるかのように言われ、軽んじられている。
独立研究者(なんか強そう)の山口周氏は著書『武器になる哲学』のなかで、その原因について次のように語っている。
最大の原因は哲学者たちの怠慢でしょう。
なかなかに辛辣であるが、同書を読み進めていくと、なるほどそのように言いたくなる気持ちもわかってくる。
哲学を専門的に研究している人間による"哲学入門書"は、その研究者のこだわりが強く反映されており、一般人に取ってはとっつきにくいものが多いように思う。
一方『武器になる哲学』では、哲学・思想の思考法や用語(書籍ではキーコンセプトとして紹介されている)を現代を生きる我々個人がどのように活用すればよいか具体例を用いながらわかりやすく解説されており、哲学に関する前提知識を持っていなくとも、その有用性に触れることができる、まさに「入門書」と呼ぶにふさわしい良書である。
広告会社に長く勤めていた著者らしく、どのような切り口で構成すれば多くの人々に読まれるかよく考えられて書かれていて、深く関心してしまった。
amazonのprime会員特典で無料で読むことができたが、いつでも手に取れるように紙版を購入したほどである。
巻末にはブックガイドもあるので、気になったものから乱読していきたいと思う。
ビジネスの世界で長く活躍していた人が書く入門書は、研究者が書くそれよりも一般に需要されやすいのかな。
それともたんに山口氏の著述家としての能力が高いだけなのか。