ブルトンのダッグアウト

日々感じたことや調べたことを率直に書きます。

『リモートワークの盲点 | 山口周 / Voicy』を視聴した感想

ついさっき、山口周さんのVoicyを聞いていてなるほどなぁと思うことがあったので、後から振り返ることができるようにブログへ書き残しておくことにした。

リモートワークの盲点 | 山口周「ウラヤマグチシュウ」/ Voicy - 音声プラットフォーム

 

放送では、上司のやり方を盗むことや職場で起きる様々な事例に触れることによる学びなど、マニュアル化が難しいことが、見過ごされがちだけど結構大事だよね、この間のリモートワークによってそのような機会が失われてしまっているのが気がかりだ。
という趣旨の放送でした。

 

確かに私自身、先輩職員が学生や教員とどのようにやりとりをしているか、体調不良な学生が発生したときや不審者が発生したときにどのように対応するかなど、日々周囲でおきる事例から貴重な学びを得てきた自覚がある。

リモートワークが進むと、このような学びを得る機会が損なわれるので、若手職員の経験値は積み上がっていかない。長期的にみれば組織の能力も下がっていくことは想像に難くなく、山口氏が心配されているのも納得である。

 

ただまぁ、自分が勤務する大学ではリモートワークはなかなか進まなそうなので、あまり気にすることはないかもしれない。

それより、中堅職員になって、日々現場で起きる事件の処理を若手に任せることが増えてきたが、余裕があるときは自身も関わっていこうと考えを改めることができた。このことが今回一番の学びだったかと思う。

 

 

ちなみに、上記でリンクを貼った放送では、「正統的周辺参加」概念を用いて説明されていたので、参考まで。

『武器になる哲学』山口周 -哲学・思想へ入門するのに本当におすすめできる書籍-

日本において哲学は、机上の空論、役に立たないものであるかのように言われ、軽んじられている。

 

独立研究者(なんか強そう)の山口周氏は著書『武器になる哲学』のなかで、その原因について次のように語っている。

 

最大の原因は哲学者たちの怠慢でしょう。

 

なかなかに辛辣であるが、同書を読み進めていくと、なるほどそのように言いたくなる気持ちもわかってくる。

 

哲学を専門的に研究している人間による"哲学入門書"は、その研究者のこだわりが強く反映されており、一般人に取ってはとっつきにくいものが多いように思う。

 

一方『武器になる哲学』では、哲学・思想の思考法や用語(書籍ではキーコンセプトとして紹介されている)を現代を生きる我々個人がどのように活用すればよいか具体例を用いながらわかりやすく解説されており、哲学に関する前提知識を持っていなくとも、その有用性に触れることができる、まさに「入門書」と呼ぶにふさわしい良書である。

 

広告会社に長く勤めていた著者らしく、どのような切り口で構成すれば多くの人々に読まれるかよく考えられて書かれていて、深く関心してしまった。

amazonのprime会員特典で無料で読むことができたが、いつでも手に取れるように紙版を購入したほどである。

 

巻末にはブックガイドもあるので、気になったものから乱読していきたいと思う。

 

ビジネスの世界で長く活躍していた人が書く入門書は、研究者が書くそれよりも一般に需要されやすいのかな。

 

それともたんに山口氏の著述家としての能力が高いだけなのか。

浅野翔吾選手(高松商業)について

仙台育英が東北勢初の優勝を成し遂げた2022夏の甲子園、野手で最も高い評価を得たのは浅野翔吾選手であるということには、多くの同意を得ることができると思う。

 

上背がないことでプロ野球の世界では中距離打者を目指すと本人は言っているそうだが、私としてはロッテの荻野選手のような、スピードとパンチ力のある打撃を活かしたプレースタイルを取ることもできるのではないかと期待している。

九州国際大学附戦での盗塁シーンを見るとそう思わずにはいられない。
スタートも良いし、トップスピードに乗るまでも早い。

当初は本人が希望するように中距離打者として育成することになろうが、仮に思うような成果が出ないようならスピード特化に切り替えることができる。
潰しの効く選手なので、今年のドラフトでは上位で消えるのは間違いないだろう。

アマチュア観戦者による投手コントロール能力を測定する試み

野球というゲームを成立させる上で、投手のコントロールは根幹となる大切な要素である。

 

草野球で投手をするようになって、そのことに以前よりも意識が向くようになってきた。

・狙ったところに制球できる割合がどれくらいか

・仮に狙いからズレたとして、そのズレがどの程度に収まっているのか

 

この2点を何らかの方法で測定することで、これまでにない野球に関する新たな洞察を得ることができるのではないか。このように思い、久しぶりに野球観戦に関する熱が上がっている。

 

 

次のような測定を考えてみた。

 

キャッチングゾーンを下図のように分割する。

 

左打者のアウトコース低めであれば横位置7,縦位置3(「7,3」と記録)

 

キャッチャーが構えた位置が7,3、実際に捕球した位置が8,4であれば、横縦にそれぞれ1ずつズレている。このズレを1球ごとに記録していく。

 

近年では野球の試合は多くインターネットで配信されているので、素材の調達は容易である。目視で記録していくので正確性には限界があるが、今後、できる限り同じ基準で測定しデータを蓄積していき、何か新しい洞察を得たいと思う。

製品やアイデアを『進化思考』的に分類して発想力を鍛えていく試み

2022.3.29更新

太刀川英輔氏の著作『進化思考』では、モノゴトの創造を生物の進化、すなわち「変異と適応」という切り口で論じている。

 

このページでは、『進化思考』で示された9つある変異の形態に従って、身近にある製品やサービスを分類していきたい。

 

緑字は『進化思考』で紹介されている事例

 

変量(極端な量を想像してみよう)

『進化思考』では、変量の種類をさらに細かく分類している。

超大きく、超小さく、超薄く、超厚く、超高く、超長く、超軽く、超速く、超遅く、超柔らかく

 

超大きく

商店を大きくした「スーパーマーケット」

車を大きくした「バス」

iphoneを大きくした「ipad

 

超小さく

ラジカセを小さくした「ウォークマン

スピーカーを小さくした「ヘッドフォン」

地球を小さく描いた「地球儀」

 

超薄く

木を薄くした「紙」

「0.001ミリのコンドーム」

封筒から出せるパソコン「MacBook Air

 

超厚く

「辞書」

厚底ブーツ

 

超高く

超高層ビル

消火のためえにはしごを伸ばす「消防車」

 

超長く

胃カメラ

 

超軽く

AIにより軽さを最適化した「ジェネラティブデザイン」

指一本で持ち上げられる椅子「スーパーレッジェーラ」

 

超速く

「F1カー」

 

超遅く

「スローモーション」

 

超柔らかく

化学反応によってさらに柔らかくなった「ゴム」

 

擬態(欲しい状況を真似てみよう)

人型ロボット

ノート型パソコン

迷彩柄

飛行機(鳥の擬態)

ファスナー(ごぼうの実)

Eメール(手紙)

iphone

 

欠失(標準装備を減らしてみよう)

"固定観念を打ち破り、なくせるモノはないだろうか。なくても成立するモノをなるべく減らす思考プロセスは最適化に繋がる"(p125)

サイレントギター

キャッシュレス

ペーパーレス

羽根のない扇風機

非暴力運動

 

増殖(常識よりも増やしてみよう)

ペイペイ、フランフラン

複眼

ピアノ

LEDディスプレイ

駐車場

サーバー

 

転移(新しい場所を探してみよう)

歯ブラシ

腕時計

キッザニア(子どもの職業体験)

電子レンジ(元は軍用レーダー)

医者のインターン制度

パラリンピック

スマートフォン

リアルマーケットからデジタルマーケットへ

 

交換(違う物に入れ替えてみよう)

ボールペン

ロウソクからガス灯、白熱電球、LED

貨幣

 

分離(別々の要素に分けてみよう)

プラスチック容器

無料会員と有料会員

財布

ペンスタンド

 

逆転(真逆の状況を考えてみよう)

左利き用ハサミ

ホワイトボード(黒板の逆転)

ブラックライト

スローフード

暗号(読めない文字)

 

融合(意外な物と組み合わせよう)

カレーうどん

スマートフォン

トラック(自動車+倉庫)

大学業界のミドルマン(中間者)的ポジションを取りたい

youtubeでアベプラをみていたら宮台真司がポール・ラザースフェルトという社会学者が提唱したミドルマンという概念について解説していた。

 

www.youtube.com

 

ミドルマンが何かというと、一般人には理解するのが難解なことがらをわかりやすく噛み砕いて伝えることができる人、ということらしい。

 

今風にいうとインフルエンサーかな?



大学職員という自分の仕事に引きつけてみる。

 

ふだん大学生を接していると、大学でどのように学問をすればよいのかわからずに時間を無駄にしているように感じているので、大学教員が行っている難解な学問と学生との間に立つミドルマン的な役割がいるとよいかと。

 

第三の職としてはURAという研究支援職が有名だけど、昨今では学習の個別最適化が大切だと言われるようになってきているので、学習支援職も増えてくる、はず?

 

もし自大学にも根付くようならそのポジションは狙っていきたいな。

普通の事務やっているよりやりがいがありそうだし。



ところでアベプラって、地上波よりよっぽどましな議論が行われているじゃないか。

視聴する価値があると思った。

日本にとって大学とはなにか――『大学は何処へ』刊行記念イベント

昨年7月にシラスで放送された東京大学教授の吉見俊哉氏が上梓した「大学は何処へ」の出版記念イベントの動画を視聴した。

 

シラス:https://shirasu.io/

イベントレポート:

genron-cafe.jp

 

前半は著者の吉見氏が同書の概要を説明。

同志である石田英敬氏も登壇しており、ふたりが東大の学生だったとき、また教員として関わった教育改革などについて回想しつつ、時折、東浩紀が質問をするかたちでイベントは進んでいく。

 

登壇者が全員東大出身であっため、ローカルな話になりがちであったものの、興味深い話も多かったというのが私の感想。

 

私はつぎの2点に特に関心をもった。

高専は大学入試がなく、15歳からの5年間腰を据えて勉強できるので面白い制度

・日本の大学の授業は多すぎる

 

2点目の大学の授業は多すぎるという点についてもう少し触れると、日本の4年制学部は124単位を卒業条件としているところが多いようだが、かりに1科目を2単位(90分授業✖️15週)とすると、62科目履修することになる。

 

実際には1単位の授業があったり、逆に2単位を超える授業もあったりするので、一概には言えないが、60科目を下回ることは少ないのではないかと思う。

 

引き合いとして、オックスフォード大学の看板コースであるPPEの科目数を提示してみたい。

 

PPEとは、Politics, Philosophy, and Economicsの略。

歴代のイギリス首相を多く排出している。

 

オックスフォード大学はウェブサイト上でこまかいコースの内容を公開している。

https://www.ppe.ox.ac.uk/course-structure

 

上記のウェブサイトでは、PPEは3年間(日本と違って4年間じゃない)で17科目しか取らなくて良いように見える。

 

1科目あたりの授業回数が多いのでは?と思ったので確認を試みたところ、ウェブサイトに授業別の授業回数も載っていた。

 

例として、Introduction to Logic という授業では8回の講義、12回のチュートリアルとあり、日本の1科目あたり授業回数より多いことが確認できた。

チュートリアルとは、オックスフォードの特徴的な授業スタイルで、教員と1対1または1対数名で実施する、事前の読書課題にもとづく質問を受ける授業である。

 

他方Moral Philosophyという授業は、 8回の講義のみで完結するようあり、授業によって授業回数や方法がまちまちであることがわかる。

 

日本のように、単位数で授業回数が規定されることはなく、授業ごとに自由に設定できるようだ。

 

オックスフォード大学の教育については興味を持ったので、どこかで調べて紹介する機会を設けたい。